王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
「またお世話になります」
上靴がない人用のスリッパに、ペコリ。
ぱこぱこ音を鳴らしながら、私は教室に向かう。
お昼休みに、上靴を探しに行かなきゃな。
今日はどこのゴミ箱に捨てられてるんだろう。
先週は理科準備室だったけど……
廊下はなぜか、異様な空気が流れている。
ファッション雑誌を大事そうに抱える女子たちが、ところどころで泣いているんだけど……
何があったの?
慰め合う女子達の横を通り過ぎながら、私は聴覚を尖らせる。
「どうしよう。レイ先輩ロスだよぉぉぉ……」
「私、生きていけない。いきなりなんて悲しすぎだし……」
麗先輩に何かあったのかな?
麗先輩……
麗先輩……
あっ!