王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
好きでもないのに、からかうのはやめて欲しい。
私は恋に免疫がないんです。胸キュンに耐性もないんです。
昨日のことを思い出すだけで、心臓がドギマギしはじめちゃうから……
私は勢いよく階段をのぼる。
ふんわりボブを振り乱しているのは、甘い記憶を振り落としたいから。
階段の最後の一段をのぼり切ったところで
「あっ」
誰かとぶつかってしまった。
私は背中から落ちそうに。
でも、がっちりと手首をつかまれ、力強く引っ張られ、事なきを得たのです。
私を助けてくれたのは誰?
「大丈夫? 階段から落ちなくてよかったね」
「りっ理事長?」
「は~い、ごきげんよう」
顔の横で片手を振り、最上級におっとり微笑む理事長。
20代にしか見えない。
イケオジっていったら申し訳ないくらい、見た目が若くてカッコいい。