王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
目をつぶったまま、3分以上が経過しているこの状態。
死刑執行の直前。
そのわりに、私の五感がなぜか危機感を薄めている。
さっき魔王が、変なことを言っていたような……
『オマエは、断捨離と花嫁修業に励むんだな』って。
断捨離って、人間界で流行っているあれだよね?
いらない物を手放すこと。
花嫁修業は……花嫁修業……そのまんまの意味だとして……
ん?
私、殺されるんじゃないの?
えっと……どういうこと?
頭上に浮かんでしまう、たくさんのハテナ。
恐怖を押しのけるように、私はゆっくりとまぶたを開けてみた。
「ひぃあい!」と叫んでしまったのは、驚きを隠しきれなかったから。
ななな……なぜ?
魔王の顔が、真っ赤なんですけど。
動揺しながらオロオロした目を、私からそらしているんですけど。