王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
「じっとしとけ」
「どうせお前の力じゃ無理だ」とでも言いたげ顔で、魔王は呆れ声を漏らしたけれど……
そんなことで私は諦めたりしない
ジャンプをしたり、体を左右に振ったり。
「痛っ」と声が漏れたのは、縄が体にこすれた激痛に耐えられなかったから。
「あ~もう、わかったよ!」
「……えっ?」
「ほどいてやるって言ってんの」
「縄を?」
「ちょっと待ってろ」
怖い表情の魔王。
フェンスから飛び降りると、まずは手首の縄をほどいてくれた。
「お前が暴れるから、手首が赤くなってるじゃん!」
しゃがみ込んで、全ての縄をほどいてくれている。
私の体が、ふわっと解放された。