王子と魔王の溺愛対決 キュン死注意報・発令中
俺の目の前で、陽彩ちゃんは界魔君に連れさられた。
あの時の光景を思い出すと、俺の独占欲がキリキリと痛みだす。
心の中で暴れまくる『嫉妬』という醜い感情。
俺は今、どうやって鎮めればいいのかわからない。
だからこうして、転入を許可した張本人に文句を言いに来たわけだが……
怒り顔で、こぶしをグリグリと机に食い込ませようとする俺。
理事長は優しい父親が顔で、なだめるように俺の腕をさすってきた。
「安心なさい。私は思っているから」
「?」
「この世で一番麗しいのは、我が息子だってね。フフフ~」
「ちゃんと答えて! なんでこんな中途半端な時期に、転校生が来たのか」
「察しがいい麗なら出会って5秒で見破ると期待していたのだけど、見込み違いだったかな?」
「えっ?……何を?」
「転校生くんの正体だよ」