千燈花〜ETERNAL LOVE〜
強引さは健在だ。まぁ、明後日は仕事もないし、気晴らしに彼に付き合うのも悪くないと思った。
「燈花様、この大量の菜の花お一人で摘まれたのですか⁈」
林臣が去ると漢人が籠の中を見て仰天した。
「そうよ、欲を出しすぎたせいで林臣様に助けられてバツが悪いわ」
私が少しふてくされながら答えると、
「へぇ…あのぅ以前から思っていたのですが、申し上げても良いですか?」
漢人がひかえめに言った。
「実に林臣様と燈花様のご関係は不思議なものです。知人なのか友人なのか、気の置けない友人なのか。はたまた全くの赤の他人なのか…でもなぜか燈花様とご一緒されている林臣様の表情がいつも穏やかに見えるのです」
「え?そう?…まぁ、そうね、不思議と林臣様とお会いする機会はあるのよね…運が良いのか悪いのか…」
腐れ縁でもあるのだろうか?私は軽くため息をついたあと漢人と二人で籠いっぱいの菜の花を抱え厨房へと向かった。
約束の日は朝から空は青く澄み渡り、ポカポカと暖かく穏やかだった。私は動きやすい服装に着替えたあと適当なサイズの籠を探していた。
「燈花様、誠に林臣様と弓を射にいかれるのですか?」
小彩が昨日からしつこく聞いてくる。
「まぁね、弓は持たないけれど林臣様の話では野草や山菜が豊富に自生しているようなの。ちょうど時間を持て余しているし、とにかく行って見るわ」
「はぁ…よりによって林臣様と出かけるなんて、燈花様、怖くはないのですか?もし問題でも起こしたらお命だって危険になりかねませんよ?」
「小彩ったら大げさね。今まで何度も林臣様の逆鱗に触れた機会はあったけれど、まだこうして生きているでしょ?この先もきっとひどい目に会う事はないって何故かそう感じるのよ。しかもあの人…そんなに悪い人ではないわ…もし、山代王様からお呼びがかかったら、こんなに自由な暮らしは二度と出来ないだろうし、今のうちに羽を伸ばしておくわ」
「まぁ、それはそうですが…」
小彩が呆れ気味に言った。東門に向かうと、すでに猪手と数人の従者が待っていた。猪手に会うのも久しぶりだ。
「おはようございます。燈花様、馬車を坂の下に用意しておりますので早速参りましょう」
「馬車?いいえ、私も馬を走らせるわ、せっかくの良い天気だものやっと訪れた春の風を感じたいわ」
「しかし、女人が乗馬だなんて…」
猪手がチラッと私を見たあと、ためらいがちに言った。
「大丈夫よ、心配いらないわ」
「なれど、燈花様は亡き中宮さまのお身内、落馬でもされたならば私の首が飛んでしまいます…」
「案ずることはないわ、こう見えても乗馬は得意よ」
私は従者達が連れていた馬に静かに近づくと、少し間を置いて頭をゆっくりと撫でた。馬が慣れてきたところを見計らって手綱をつかみ、すっと背に乗った。良かった、大人しい良い馬だ。山代王から習った乗馬がこんなにも役立つとは思わなかった。
「燈花様、この大量の菜の花お一人で摘まれたのですか⁈」
林臣が去ると漢人が籠の中を見て仰天した。
「そうよ、欲を出しすぎたせいで林臣様に助けられてバツが悪いわ」
私が少しふてくされながら答えると、
「へぇ…あのぅ以前から思っていたのですが、申し上げても良いですか?」
漢人がひかえめに言った。
「実に林臣様と燈花様のご関係は不思議なものです。知人なのか友人なのか、気の置けない友人なのか。はたまた全くの赤の他人なのか…でもなぜか燈花様とご一緒されている林臣様の表情がいつも穏やかに見えるのです」
「え?そう?…まぁ、そうね、不思議と林臣様とお会いする機会はあるのよね…運が良いのか悪いのか…」
腐れ縁でもあるのだろうか?私は軽くため息をついたあと漢人と二人で籠いっぱいの菜の花を抱え厨房へと向かった。
約束の日は朝から空は青く澄み渡り、ポカポカと暖かく穏やかだった。私は動きやすい服装に着替えたあと適当なサイズの籠を探していた。
「燈花様、誠に林臣様と弓を射にいかれるのですか?」
小彩が昨日からしつこく聞いてくる。
「まぁね、弓は持たないけれど林臣様の話では野草や山菜が豊富に自生しているようなの。ちょうど時間を持て余しているし、とにかく行って見るわ」
「はぁ…よりによって林臣様と出かけるなんて、燈花様、怖くはないのですか?もし問題でも起こしたらお命だって危険になりかねませんよ?」
「小彩ったら大げさね。今まで何度も林臣様の逆鱗に触れた機会はあったけれど、まだこうして生きているでしょ?この先もきっとひどい目に会う事はないって何故かそう感じるのよ。しかもあの人…そんなに悪い人ではないわ…もし、山代王様からお呼びがかかったら、こんなに自由な暮らしは二度と出来ないだろうし、今のうちに羽を伸ばしておくわ」
「まぁ、それはそうですが…」
小彩が呆れ気味に言った。東門に向かうと、すでに猪手と数人の従者が待っていた。猪手に会うのも久しぶりだ。
「おはようございます。燈花様、馬車を坂の下に用意しておりますので早速参りましょう」
「馬車?いいえ、私も馬を走らせるわ、せっかくの良い天気だものやっと訪れた春の風を感じたいわ」
「しかし、女人が乗馬だなんて…」
猪手がチラッと私を見たあと、ためらいがちに言った。
「大丈夫よ、心配いらないわ」
「なれど、燈花様は亡き中宮さまのお身内、落馬でもされたならば私の首が飛んでしまいます…」
「案ずることはないわ、こう見えても乗馬は得意よ」
私は従者達が連れていた馬に静かに近づくと、少し間を置いて頭をゆっくりと撫でた。馬が慣れてきたところを見計らって手綱をつかみ、すっと背に乗った。良かった、大人しい良い馬だ。山代王から習った乗馬がこんなにも役立つとは思わなかった。