千燈花〜ETERNAL LOVE〜
失った髪飾り
もう朝か…昨晩は死んだようによく寝た。疲れすぎていたのだろうか夢一つ見なかった。戸口の隙間からひんやりとした秋の風が入ってくる。外はまだ薄暗くひっそりとしている。現代と季節が同じだとしたら、秋もそろそろ終わりに近づく頃だ。冷たい空気を大きく吸い、起き上がると小屋の外に出た。厨房のある長屋から、煙が登るのが見えた。
誰かもう起きているのね、行ってみよう…
厨房の小屋は敷地の少し奥、裏山の横にある。厨房の中の釜戸からパチパチと火が燃える音が聞こえた。中をそっと覗いたが人の気配はなくしんとしている。
「燈花様?」
「ヒャッッ!」
振り返ると小彩が薪を抱え驚いた顔で立っている。
「小彩驚かさないで!ビックリしたわ」
「驚いたのはこちらの方ですよ、もう起きられたのですか?」
「えぇ、昨日は早くに寝てしまったもんだから早く起きちゃったわ。ところで何を作っているの?」
「はい、昨日山代王様から栗を沢山頂いたので、蒸かしているところです。今が旬なのでとても美味しいと思いますよ」
小彩が大きな布袋を覗き込み注意深く栗を取り出しはじめた。
「山代王様から頂いたの?手伝うわ、他の厨房の人は?」
厨房には小彩以外誰も居ない。
「ええ、皆、昨晩の宴で酔いつぶれてしまったようで、誰も起きてこないのです」
丁度そこへ使用人の男がガタガタと戸を開けて入ってきた。まだ酔いが抜けていないのか目はトロンとし酒の匂いがプンプンしている。
「あっ、あれ?燈花様ですか?お早いですなぁ、、、失礼、、失礼」
使用人の下男は軽く頭を下げると両手で再び頭を押さえ、う〜んと言って囲炉裏の前の床にしゃがみこんだ。
「小彩、水だ、水をくれ、、」
「まったく、飲み過ぎたのですよ」
小彩はため息をつくと説教まがいに下男に言った。
「仕方ないであろう、大王様の盛大な宴のお陰でこの宮にも酒が届いたのだ…良い酒をたらふく飲み最高の夜であった。ふぁぁ、、あぁ眠いし頭が痛い…」
下男は大きなあくびをすると、小彩に早く水をくれと催促するように手を振っている。
なるほど、誰も起きてこないはずだ。
下男は小彩からの水を受け取り、一気に飲み干すとばつが悪そうにこちらを見て言った。
「あんなに盛大な宴は久しぶりなのです…どの宮の者も皆酔いつぶれて、今日は仕事にならないでしょうなぁ、、あ~気持ち悪い、しかし初めて呑んだが唐の酒は強いな…」
下男はもう一杯水を小彩にねだったあと立ち上がるとフラフラと厨房を出ていった。
『これじゃあどの屋敷の使用人も使い物にならないわね…そうだ小彩、このあたりに葛花は生えてるかしら?』
「葛花ですか?はい、北山に行けば多分見つけられると思いますが、何故ですか?」
「良かった、葛花を煎じて飲むと二日酔いにとてもよく効くのよ、もし上手く出来たら茅渟王様のお屋敷にも届けましょう」
「妙案でございますね!では早速支度をしてまいります」
そうは言ったものの、薬草花には少しばかり詳しいがもちろん煎じた事などない。不安だったが、一方でなんとかなるだろうと楽観視する自分がいた。すでにこの生活に少しずつ順応してきている証拠のようで朝から驚いた。
誰かもう起きているのね、行ってみよう…
厨房の小屋は敷地の少し奥、裏山の横にある。厨房の中の釜戸からパチパチと火が燃える音が聞こえた。中をそっと覗いたが人の気配はなくしんとしている。
「燈花様?」
「ヒャッッ!」
振り返ると小彩が薪を抱え驚いた顔で立っている。
「小彩驚かさないで!ビックリしたわ」
「驚いたのはこちらの方ですよ、もう起きられたのですか?」
「えぇ、昨日は早くに寝てしまったもんだから早く起きちゃったわ。ところで何を作っているの?」
「はい、昨日山代王様から栗を沢山頂いたので、蒸かしているところです。今が旬なのでとても美味しいと思いますよ」
小彩が大きな布袋を覗き込み注意深く栗を取り出しはじめた。
「山代王様から頂いたの?手伝うわ、他の厨房の人は?」
厨房には小彩以外誰も居ない。
「ええ、皆、昨晩の宴で酔いつぶれてしまったようで、誰も起きてこないのです」
丁度そこへ使用人の男がガタガタと戸を開けて入ってきた。まだ酔いが抜けていないのか目はトロンとし酒の匂いがプンプンしている。
「あっ、あれ?燈花様ですか?お早いですなぁ、、、失礼、、失礼」
使用人の下男は軽く頭を下げると両手で再び頭を押さえ、う〜んと言って囲炉裏の前の床にしゃがみこんだ。
「小彩、水だ、水をくれ、、」
「まったく、飲み過ぎたのですよ」
小彩はため息をつくと説教まがいに下男に言った。
「仕方ないであろう、大王様の盛大な宴のお陰でこの宮にも酒が届いたのだ…良い酒をたらふく飲み最高の夜であった。ふぁぁ、、あぁ眠いし頭が痛い…」
下男は大きなあくびをすると、小彩に早く水をくれと催促するように手を振っている。
なるほど、誰も起きてこないはずだ。
下男は小彩からの水を受け取り、一気に飲み干すとばつが悪そうにこちらを見て言った。
「あんなに盛大な宴は久しぶりなのです…どの宮の者も皆酔いつぶれて、今日は仕事にならないでしょうなぁ、、あ~気持ち悪い、しかし初めて呑んだが唐の酒は強いな…」
下男はもう一杯水を小彩にねだったあと立ち上がるとフラフラと厨房を出ていった。
『これじゃあどの屋敷の使用人も使い物にならないわね…そうだ小彩、このあたりに葛花は生えてるかしら?』
「葛花ですか?はい、北山に行けば多分見つけられると思いますが、何故ですか?」
「良かった、葛花を煎じて飲むと二日酔いにとてもよく効くのよ、もし上手く出来たら茅渟王様のお屋敷にも届けましょう」
「妙案でございますね!では早速支度をしてまいります」
そうは言ったものの、薬草花には少しばかり詳しいがもちろん煎じた事などない。不安だったが、一方でなんとかなるだろうと楽観視する自分がいた。すでにこの生活に少しずつ順応してきている証拠のようで朝から驚いた。