千燈花〜ETERNAL LOVE〜
侍女の正体
邸の前では数名の医官達が松明を片手に持ちウロウロと待っていた。主治医らしき男がこちらの到着に気づくと急いで駆けてきてすぐさま大王の脈をとった。
「まだ意識が朦朧とされているご様子だが、どうた?」
側近の男が急かすように主治医に聞いた。主治医はしかめ面で黙って脈取りに集中していたが、しばらくするとホッとした表情をし答えた。
「大丈夫です、脈は安定しておりますし呼吸も整っておいでです。すぐに寝所へとお運びしましょう」
「はぁ、、良かった…」
周りを囲んでいた数名の臣下達の表情が一斉にやわらぎ、大王を寝所へと運んだ。
「じきに意識もはっきり戻るはずですが、もしかするとこのまま朝までお眠りになるかもしれません。頭に大きなコブが見受けられますので、早急に冷やすものを持って参ります。幸いにも、医術の心得があったものが側にいたとは、大王さまも強運の持ち主です。その者の処置がなければ、今頃大変な事態になっていたかと…。どこの部署の者でしょうか?」
寝ている大王を横目に主治医が感嘆しながら側近の男に尋ねた。
「イヤ、実は、暗闇の中であったので、よくわからなかったのだ。しかし、どうやら此度の行幸でついてきたどこかの宮の侍女のようだ」
「侍女でございますか?さようでございましたか…しかしともあれ大王さまのご無事が一番です。すぐに煎じ薬となにか冷やす物を持ってまいります」
主治医はそう言うと、再度安堵した表情を見せ部屋から出ていった。主治医が部屋から出ていくと側近の男は、大王の湯浴びに付き添った全ての臣下達を集め静かに言った。
「此度の件は、事態が事態ゆえ他言無用だ。決して口外してはらならぬ。万が一にも外部に話した者は厳罰に処すからな」
「はっ!」
部屋の中が再び張り詰めた空気へと変わった。
一方、、
チュンチュン、チュンチュン。
「ふぁ~良く寝た、ん?燈花さま?燈花さま、もう朝になりましたよ!大王さまと王妃さまにご挨拶にゆく準備をしなくてはですよ!さぁ起きて下さい」
小彩は昨晩十分な睡眠を取ったと見え、元気いっぱいのようだ。私の体を思い切り揺さぶり起こそうとしている。けれど、私の
体は全く反応しない…明らかに気分が悪いし熱っぽい。
「う~ん、小彩なんだかとても具合が悪いのよ…寒いし」
「えっ、燈花さまどうされたのですか⁉︎大丈夫ですか⁉︎」
額に当てられた小彩の手が異様に冷たい。体中の末端がとにかく冷たく凍えるようだ。
「大変!どうしましょう!直ぐに誰か呼んでまいります!」
やはり結構な熱が出ているのだろう、小彩はバタバタと部屋を飛び出し、しばらくして医官らしき男ともう一人医女らしき若い女を連れて戻ってきた。医官の男は部屋の戸口付近で待ち、若い医女が私の手首をつかみ脈を取っている。医官らしき男は医女の脈診の結果を聞くと、小さく頷き姿を消した。医官の男が去ると外でその様子を心配そう見ていた小彩がすぐさま部屋に入ってきて、私を不安そうに覗きみながら手を握った。
「燈花さま、しかっりしてください」
ぼんやりと小彩の手のぬくもりを感じながら、また深い眠りへと入ってしまった。
「まだ意識が朦朧とされているご様子だが、どうた?」
側近の男が急かすように主治医に聞いた。主治医はしかめ面で黙って脈取りに集中していたが、しばらくするとホッとした表情をし答えた。
「大丈夫です、脈は安定しておりますし呼吸も整っておいでです。すぐに寝所へとお運びしましょう」
「はぁ、、良かった…」
周りを囲んでいた数名の臣下達の表情が一斉にやわらぎ、大王を寝所へと運んだ。
「じきに意識もはっきり戻るはずですが、もしかするとこのまま朝までお眠りになるかもしれません。頭に大きなコブが見受けられますので、早急に冷やすものを持って参ります。幸いにも、医術の心得があったものが側にいたとは、大王さまも強運の持ち主です。その者の処置がなければ、今頃大変な事態になっていたかと…。どこの部署の者でしょうか?」
寝ている大王を横目に主治医が感嘆しながら側近の男に尋ねた。
「イヤ、実は、暗闇の中であったので、よくわからなかったのだ。しかし、どうやら此度の行幸でついてきたどこかの宮の侍女のようだ」
「侍女でございますか?さようでございましたか…しかしともあれ大王さまのご無事が一番です。すぐに煎じ薬となにか冷やす物を持ってまいります」
主治医はそう言うと、再度安堵した表情を見せ部屋から出ていった。主治医が部屋から出ていくと側近の男は、大王の湯浴びに付き添った全ての臣下達を集め静かに言った。
「此度の件は、事態が事態ゆえ他言無用だ。決して口外してはらならぬ。万が一にも外部に話した者は厳罰に処すからな」
「はっ!」
部屋の中が再び張り詰めた空気へと変わった。
一方、、
チュンチュン、チュンチュン。
「ふぁ~良く寝た、ん?燈花さま?燈花さま、もう朝になりましたよ!大王さまと王妃さまにご挨拶にゆく準備をしなくてはですよ!さぁ起きて下さい」
小彩は昨晩十分な睡眠を取ったと見え、元気いっぱいのようだ。私の体を思い切り揺さぶり起こそうとしている。けれど、私の
体は全く反応しない…明らかに気分が悪いし熱っぽい。
「う~ん、小彩なんだかとても具合が悪いのよ…寒いし」
「えっ、燈花さまどうされたのですか⁉︎大丈夫ですか⁉︎」
額に当てられた小彩の手が異様に冷たい。体中の末端がとにかく冷たく凍えるようだ。
「大変!どうしましょう!直ぐに誰か呼んでまいります!」
やはり結構な熱が出ているのだろう、小彩はバタバタと部屋を飛び出し、しばらくして医官らしき男ともう一人医女らしき若い女を連れて戻ってきた。医官の男は部屋の戸口付近で待ち、若い医女が私の手首をつかみ脈を取っている。医官らしき男は医女の脈診の結果を聞くと、小さく頷き姿を消した。医官の男が去ると外でその様子を心配そう見ていた小彩がすぐさま部屋に入ってきて、私を不安そうに覗きみながら手を握った。
「燈花さま、しかっりしてください」
ぼんやりと小彩の手のぬくもりを感じながら、また深い眠りへと入ってしまった。