千燈花〜ETERNAL LOVE〜
部屋へと案内された私はとても緊張していた。大王と最後に会ったのは、小墾田宮の蹴鞠以来だ…いや、違う…数日前に湯で会っていた…しかも…仕方なかったとしても、、事実、大王の唇に触れている。
顔が熱くなっていくのが自分でもわかった。けれども覚悟を決めてシラを切らねばならない。強い緊張と共に部屋の中へと入り、いつもより深く拝礼をした。
「大王様に拝謁いたします」
「顔を上げなさい」
ゆっくりと顔を上げた先にうっすらと笑みを浮かべる大王とその隣にうつむく山代王の姿が見えた。
ハッ、山代王様もいらっしゃる⁉︎不味い…
ただでさえ緊張しているのに、さらに心臓の鼓動は早くなり身体中に油汗が出てきているのがわかった。
「燈花よ、実に久しぶりであるな、しばらく床に伏せていたと聞いたぞ。長旅の疲れが出てしまったのだな。で、体調は良くなったか?」
大王が優しく聞いてきた。
「はい、もうこの通り回復いたしました」
精一杯の笑みを作り震える声で答えた。
「そうか、良かった安心したぞ」
「大王様こそ、体調が優れぬとお聞きいたしましたが…」
緊張のせいか余計な話題を振ってしまったが、、、もう遅い…
「ハハッ、そうなのだ!女官たちの噂は早いな」
そう言うと、大王は大声で笑った。
「お体はもう大丈夫でございますか?」
「もう大事ない」
大王は恥ずかしそうに頭をかき、少し顔を赤らめた。
「安心いたしました」
私が言うと、大王はコホンっと咳払いを一つし、少し間を置いて私を見つめて言った。
「まぁ、念のため聞くのだが…そなた、龍王ヶ湯には行ってないな?」
「えっ⁉︎は、はい私はここの宮に着き、直ぐに体調を崩した為、しばらく部屋で寝込んでおりました」
たどたどしい答えに、その場からすぐに消え去りたかった。とにかく今までにない緊張感で頭がおかしくなりそうだった。
「そうだったな。愚かな事を尋ねてしまった」
大王は少し残念そうに言い小さなため息をついた。
「まだしばらくここにとどまるつもりだ。その間、ゆっくり休みなさい。それと王妃がそなたに会いたがっているゆえ、午後にでも挨拶に行ってくれるか?」
「はい、喜んで伺います。では失礼いたします」
とにかく一刻も早くこの場から立ち去りたかった。軽くお辞儀をしたあと足早に部屋を出た。急いで自分の部屋に戻ると寝台に倒れこんだ。まだ心臓がバクバクとしているが、なんとかかわせたと思う…
「燈花さま!危機一髪でございましたね。緊張で手がビッショリです。生きた心地がしません」
後から部屋に入ってきた小彩が手拭いで手を何度も拭きながら泣きそうな声で言った。
「本当ね。よりによって山代王様までいらっしゃるなんて、バレてないわよね?」
「はい、大丈夫かと思います。それにしても燈花様、今日の山代王様はなんだか暗くありませんでしたか?なんだか神妙な面持ちだった気がして…」
「うーん、、そうね…」
と答えたものの、山代王さまを気遣う心の余裕が全然なかったのか、ついさっきの出来事なのに状況を全く思い出せない。でも、よくよく考えるとこの三日間、彼にはとても心配をかけてしまったようだし、改めてお礼に行かなければと思った。
そして、彼からの指輪も早急に見つけ出さないといけない。でも、午後は王妃さまにお会いする予定があるし…まさか古代でこんなドキドキハラハラな体験をするとは思っていなかったが、こんな波瀾万丈な人生も一つの醍醐味なのかもしれないと、なぜか同時に思った。
顔が熱くなっていくのが自分でもわかった。けれども覚悟を決めてシラを切らねばならない。強い緊張と共に部屋の中へと入り、いつもより深く拝礼をした。
「大王様に拝謁いたします」
「顔を上げなさい」
ゆっくりと顔を上げた先にうっすらと笑みを浮かべる大王とその隣にうつむく山代王の姿が見えた。
ハッ、山代王様もいらっしゃる⁉︎不味い…
ただでさえ緊張しているのに、さらに心臓の鼓動は早くなり身体中に油汗が出てきているのがわかった。
「燈花よ、実に久しぶりであるな、しばらく床に伏せていたと聞いたぞ。長旅の疲れが出てしまったのだな。で、体調は良くなったか?」
大王が優しく聞いてきた。
「はい、もうこの通り回復いたしました」
精一杯の笑みを作り震える声で答えた。
「そうか、良かった安心したぞ」
「大王様こそ、体調が優れぬとお聞きいたしましたが…」
緊張のせいか余計な話題を振ってしまったが、、、もう遅い…
「ハハッ、そうなのだ!女官たちの噂は早いな」
そう言うと、大王は大声で笑った。
「お体はもう大丈夫でございますか?」
「もう大事ない」
大王は恥ずかしそうに頭をかき、少し顔を赤らめた。
「安心いたしました」
私が言うと、大王はコホンっと咳払いを一つし、少し間を置いて私を見つめて言った。
「まぁ、念のため聞くのだが…そなた、龍王ヶ湯には行ってないな?」
「えっ⁉︎は、はい私はここの宮に着き、直ぐに体調を崩した為、しばらく部屋で寝込んでおりました」
たどたどしい答えに、その場からすぐに消え去りたかった。とにかく今までにない緊張感で頭がおかしくなりそうだった。
「そうだったな。愚かな事を尋ねてしまった」
大王は少し残念そうに言い小さなため息をついた。
「まだしばらくここにとどまるつもりだ。その間、ゆっくり休みなさい。それと王妃がそなたに会いたがっているゆえ、午後にでも挨拶に行ってくれるか?」
「はい、喜んで伺います。では失礼いたします」
とにかく一刻も早くこの場から立ち去りたかった。軽くお辞儀をしたあと足早に部屋を出た。急いで自分の部屋に戻ると寝台に倒れこんだ。まだ心臓がバクバクとしているが、なんとかかわせたと思う…
「燈花さま!危機一髪でございましたね。緊張で手がビッショリです。生きた心地がしません」
後から部屋に入ってきた小彩が手拭いで手を何度も拭きながら泣きそうな声で言った。
「本当ね。よりによって山代王様までいらっしゃるなんて、バレてないわよね?」
「はい、大丈夫かと思います。それにしても燈花様、今日の山代王様はなんだか暗くありませんでしたか?なんだか神妙な面持ちだった気がして…」
「うーん、、そうね…」
と答えたものの、山代王さまを気遣う心の余裕が全然なかったのか、ついさっきの出来事なのに状況を全く思い出せない。でも、よくよく考えるとこの三日間、彼にはとても心配をかけてしまったようだし、改めてお礼に行かなければと思った。
そして、彼からの指輪も早急に見つけ出さないといけない。でも、午後は王妃さまにお会いする予定があるし…まさか古代でこんなドキドキハラハラな体験をするとは思っていなかったが、こんな波瀾万丈な人生も一つの醍醐味なのかもしれないと、なぜか同時に思った。