千燈花〜ETERNAL LOVE〜
山代王様ったら、どうしたっていうのよ。いつも冷静であられるのに…
馬を走らせながらそう思っていた。以前に来た時の記憶を頼りに、なんとか深田池の周辺までたどり着いた。木々の先にキラキラと光る池の水面が見えた。池のまわりを見渡すと、遠くに美しい駿馬が一頭繋がれているのが見えた。
間違いない、あの駿馬は山代王様の馬だ…
私は馬をおりると、ゆっくりと池の畔を歩きだした。きっと、この辺に山代王さまはいらっしゃるはず…
池の水面はオレンジ色の夕陽に染まりきらきらと美しく輝いている。
「山代王様~山代王様~」
大きな声で叫んだが、あたりに人影はなく何匹かの水鳥が声に驚いたのか空高く茜色の空に飛び立っただけだった。繋がれた駿馬の前に来ると、その横の地面に山代王の剣が真っ直ぐに刺さっているのが見え驚いた。
この状況からして彼の心は私が考えるよりも穏やかではないと悟った。
まさか山代王様に限って馬鹿なことはしないわよね…それとも…池に落ちた⁉︎確かに、いくら慣れている場所とはいえ草の生えたぬかるみの上を歩いていたら、池に落ちても不思議ではないわ。どうしよう…
何故か悪い方にばかり思考が働いてしまい気が付くと必死で叫んでいた。
「山代王様!山代王様!」
念のためと思いギリギリの所まで体を倒し池の中を覗きこんだ拍子にぬかるみに足を取られバランスを崩した。
しまった
手をバタバタと動かしバランスを取り戻そうとしたが、もう遅い…水面が近づいてくる。
「キャー!!」
もうダメだと思い目を閉じたとき、
後ろから誰かに腕を強くひっぱられ畔へと体が引き戻された。抱きしめられた腕の中で見上げると、そこには山代王の姿があった。
や、山代王様…
「そなた、死ぬところだったぞ!」
山代王はそう言うときつく私を抱きしめた。
山代王様、生きていた…
体中の力が一気に抜けていく。安堵感からか涙が溢れそうになったが、すぐに怒りの感情へと変わった。
「山代王様こそ、こんな時間までフラフラと何をされているのです!みなが心配し必死に捜しているのですよ!」
思わず説教じみたような大きな声で言ってしまったが、山代王の反応はない。
「山代王様?…」
彼はまだ私を抱きしめたまま何も言わない。
「山代王様?どうし…」
「そなたを慕っている。出会った時からずっとだ…」
山代王からの突然の告白に心臓がまたバクバクと音を鳴らしはじめた。
「私も愚かだな…この数日でやっと、自分の気持ちに気がついたのだ。そなたを誰よりも慕っている。私の心はそなたのものだ…どうかこの想いを受け入れて欲しい」
山代王様…
今までの事を思い出していた。馬に乗っている時も、あの夜あの湯で会った時も、今この時も、確かに山代王を想っている自分がいると。
「山代王様、私のように身分の低い者はふさわしくないかもしれません、けれど、どうやら私も山代王さまの事を想いお慕いしているようです」
「まっ、誠か⁉︎」
私が小さく頷くと、山代王はまっすぐな瞳で私を見つめた。顔が近づき優しく口づけをしてきた。オレンジ色の夕焼けは、真っ赤な夕陽の世界へと変わっていた。
馬を走らせながらそう思っていた。以前に来た時の記憶を頼りに、なんとか深田池の周辺までたどり着いた。木々の先にキラキラと光る池の水面が見えた。池のまわりを見渡すと、遠くに美しい駿馬が一頭繋がれているのが見えた。
間違いない、あの駿馬は山代王様の馬だ…
私は馬をおりると、ゆっくりと池の畔を歩きだした。きっと、この辺に山代王さまはいらっしゃるはず…
池の水面はオレンジ色の夕陽に染まりきらきらと美しく輝いている。
「山代王様~山代王様~」
大きな声で叫んだが、あたりに人影はなく何匹かの水鳥が声に驚いたのか空高く茜色の空に飛び立っただけだった。繋がれた駿馬の前に来ると、その横の地面に山代王の剣が真っ直ぐに刺さっているのが見え驚いた。
この状況からして彼の心は私が考えるよりも穏やかではないと悟った。
まさか山代王様に限って馬鹿なことはしないわよね…それとも…池に落ちた⁉︎確かに、いくら慣れている場所とはいえ草の生えたぬかるみの上を歩いていたら、池に落ちても不思議ではないわ。どうしよう…
何故か悪い方にばかり思考が働いてしまい気が付くと必死で叫んでいた。
「山代王様!山代王様!」
念のためと思いギリギリの所まで体を倒し池の中を覗きこんだ拍子にぬかるみに足を取られバランスを崩した。
しまった
手をバタバタと動かしバランスを取り戻そうとしたが、もう遅い…水面が近づいてくる。
「キャー!!」
もうダメだと思い目を閉じたとき、
後ろから誰かに腕を強くひっぱられ畔へと体が引き戻された。抱きしめられた腕の中で見上げると、そこには山代王の姿があった。
や、山代王様…
「そなた、死ぬところだったぞ!」
山代王はそう言うときつく私を抱きしめた。
山代王様、生きていた…
体中の力が一気に抜けていく。安堵感からか涙が溢れそうになったが、すぐに怒りの感情へと変わった。
「山代王様こそ、こんな時間までフラフラと何をされているのです!みなが心配し必死に捜しているのですよ!」
思わず説教じみたような大きな声で言ってしまったが、山代王の反応はない。
「山代王様?…」
彼はまだ私を抱きしめたまま何も言わない。
「山代王様?どうし…」
「そなたを慕っている。出会った時からずっとだ…」
山代王からの突然の告白に心臓がまたバクバクと音を鳴らしはじめた。
「私も愚かだな…この数日でやっと、自分の気持ちに気がついたのだ。そなたを誰よりも慕っている。私の心はそなたのものだ…どうかこの想いを受け入れて欲しい」
山代王様…
今までの事を思い出していた。馬に乗っている時も、あの夜あの湯で会った時も、今この時も、確かに山代王を想っている自分がいると。
「山代王様、私のように身分の低い者はふさわしくないかもしれません、けれど、どうやら私も山代王さまの事を想いお慕いしているようです」
「まっ、誠か⁉︎」
私が小さく頷くと、山代王はまっすぐな瞳で私を見つめた。顔が近づき優しく口づけをしてきた。オレンジ色の夕焼けは、真っ赤な夕陽の世界へと変わっていた。