千燈花〜ETERNAL LOVE〜
トントン、トントン
戸の向こう側からしわがれた声が聞こえた。
「王様、私でございます。三輪でございます」
「入りなさい」
慌てた様子の三輪が部屋の中へと入ってきた。
「どうしたのだ？」
山代王が聞くと大臣三輪があたふたと膝をついて答えた。
「はい、今、近江皇子様とお付きの者が参りまして、王様への謁見を求めておいでですが、どうされますか？」
「ほう、さようか…近江から戻ったのだな…」
山代王が顎を片手でさすりながら呟いた。
「では、王様私共はこれにて失礼いたします。さぁ、白蘭部屋に戻りましょう」
と、場の流れを察知したのか王妃と側室の白蘭が立ち上がり戸口へと向かった。
「待ちなさい王妃、そなたも近江皇子に会うのは久しぶりであろう、白蘭にいたってはまだ会っことがないな？せっかくの機会であるから、挨拶だけでも受けてゆきなさい。白蘭体調はどうだ？もう少しここにいられるか？」
「はい、大丈夫でございます。近江皇子様にお会いしご挨拶したく思います」
山代王は大きく頷くと再び二人を両側に座らせた。
「よし、三輪、急ぎ皇子を通しなさい」
山代王が低い声で言うと、
「ははっ」
と、三輪は軽く頭を下げ急いで部屋から出ていった。しばらくして、
「王様、皇子様が参りました」
戸の向こうから三輪の声が聞こえた。
「通しなさい」
山代王が答えると、戸があき近江皇子と側近の鎌足の二人が部屋の中へと入ってきた。二人は床に頭を伏せると丁寧に挨拶をした。
「山代王様にご挨拶申し上げます」
「顔を上げなさい」
二人はゆっくりと顔をあげた。山代王はまじまじと皇子の姿を見たあと、感慨深げにため息をついた。
「皇子よ実に久しぶりであるな、しばらく見ぬうちに随分と立派になった」
「ありがたきお言葉でございます。山代王様のように威厳ある君子になるべく、日々精進に努めております」
山代王は目を細めフンと嬉しそうに頷き微笑んだ。
「王妃様もご無沙汰しております、お元気でお過ごしでしょうか？」
「ああ皇子よ。実に久しぶりであるな、元気に過ごしていたぞ。そなたのその若くはつらつとした気力を私にも分けて欲しいものだ」
「何をおっしゃられるのです、王妃様は初めてお会いした時から何一つ変わっておられません。いつまでもお若くて大変美しいお姿のままでございます」
「まぁ、なんと世辞まで饒舌になったか。成長したなフフッ」
王妃は両手を口に当てまんざらでもないように笑うと山代王を見た。
「世辞などではございません」
皇子は少し顔を赤らめたあと慌てて否定した。
「それと皇子、ここに居るのが昨年娶った側室の白蘭だ。会うのは初めてであるな？」
山代王が隣で微笑む白蘭に視線を向けた。白蘭は軽く頭を下げ挨拶をした。彼女の白く透き通る肌と玉のような美しさを前に皇子が感嘆のため息をついた。
「噂はまことであったのですね。大変高貴で美しい女子をお娶りになられたと聞いたのです。白蘭様、王様から大変なご寵愛を受けていると風の噂でお聞きいたしましたが、誠のようですね」
皇子はもう一度大きなため息をつき、白蘭を見つめた。
「まぁ、お恥ずかしい…王妃様へのご寵愛にはかないません」
白蘭はそう言うと、顔を赤らめうつむいた。
「王妃も白蘭も、王室には欠かせぬ存在だ。このように王室が繁栄、安定していられるのも後宮の者たちがしっかりと私を支えてくれているからなのだ。誠に感謝しかない。そなたももう数年すれば王妃を娶る日がくるであろう。良き縁があるように今から大臣に手を回しておこう」
「ありがたき幸せでございます。王妃様や白蘭様のような美しい女子が良いです」
「まぁ！」
はっきりと物を言う動じない皇子の態度にその場の全員が笑い、部屋の中は一層和やかな雰囲気へとなった。
戸の向こう側からしわがれた声が聞こえた。
「王様、私でございます。三輪でございます」
「入りなさい」
慌てた様子の三輪が部屋の中へと入ってきた。
「どうしたのだ？」
山代王が聞くと大臣三輪があたふたと膝をついて答えた。
「はい、今、近江皇子様とお付きの者が参りまして、王様への謁見を求めておいでですが、どうされますか？」
「ほう、さようか…近江から戻ったのだな…」
山代王が顎を片手でさすりながら呟いた。
「では、王様私共はこれにて失礼いたします。さぁ、白蘭部屋に戻りましょう」
と、場の流れを察知したのか王妃と側室の白蘭が立ち上がり戸口へと向かった。
「待ちなさい王妃、そなたも近江皇子に会うのは久しぶりであろう、白蘭にいたってはまだ会っことがないな？せっかくの機会であるから、挨拶だけでも受けてゆきなさい。白蘭体調はどうだ？もう少しここにいられるか？」
「はい、大丈夫でございます。近江皇子様にお会いしご挨拶したく思います」
山代王は大きく頷くと再び二人を両側に座らせた。
「よし、三輪、急ぎ皇子を通しなさい」
山代王が低い声で言うと、
「ははっ」
と、三輪は軽く頭を下げ急いで部屋から出ていった。しばらくして、
「王様、皇子様が参りました」
戸の向こうから三輪の声が聞こえた。
「通しなさい」
山代王が答えると、戸があき近江皇子と側近の鎌足の二人が部屋の中へと入ってきた。二人は床に頭を伏せると丁寧に挨拶をした。
「山代王様にご挨拶申し上げます」
「顔を上げなさい」
二人はゆっくりと顔をあげた。山代王はまじまじと皇子の姿を見たあと、感慨深げにため息をついた。
「皇子よ実に久しぶりであるな、しばらく見ぬうちに随分と立派になった」
「ありがたきお言葉でございます。山代王様のように威厳ある君子になるべく、日々精進に努めております」
山代王は目を細めフンと嬉しそうに頷き微笑んだ。
「王妃様もご無沙汰しております、お元気でお過ごしでしょうか？」
「ああ皇子よ。実に久しぶりであるな、元気に過ごしていたぞ。そなたのその若くはつらつとした気力を私にも分けて欲しいものだ」
「何をおっしゃられるのです、王妃様は初めてお会いした時から何一つ変わっておられません。いつまでもお若くて大変美しいお姿のままでございます」
「まぁ、なんと世辞まで饒舌になったか。成長したなフフッ」
王妃は両手を口に当てまんざらでもないように笑うと山代王を見た。
「世辞などではございません」
皇子は少し顔を赤らめたあと慌てて否定した。
「それと皇子、ここに居るのが昨年娶った側室の白蘭だ。会うのは初めてであるな？」
山代王が隣で微笑む白蘭に視線を向けた。白蘭は軽く頭を下げ挨拶をした。彼女の白く透き通る肌と玉のような美しさを前に皇子が感嘆のため息をついた。
「噂はまことであったのですね。大変高貴で美しい女子をお娶りになられたと聞いたのです。白蘭様、王様から大変なご寵愛を受けていると風の噂でお聞きいたしましたが、誠のようですね」
皇子はもう一度大きなため息をつき、白蘭を見つめた。
「まぁ、お恥ずかしい…王妃様へのご寵愛にはかないません」
白蘭はそう言うと、顔を赤らめうつむいた。
「王妃も白蘭も、王室には欠かせぬ存在だ。このように王室が繁栄、安定していられるのも後宮の者たちがしっかりと私を支えてくれているからなのだ。誠に感謝しかない。そなたももう数年すれば王妃を娶る日がくるであろう。良き縁があるように今から大臣に手を回しておこう」
「ありがたき幸せでございます。王妃様や白蘭様のような美しい女子が良いです」
「まぁ！」
はっきりと物を言う動じない皇子の態度にその場の全員が笑い、部屋の中は一層和やかな雰囲気へとなった。
