契り恋
「黙って聞いたら何言ってんの?お前」



お前、なんて柊兄ちゃんが初めて俺に使った。



怯えて手が止まり、その手は柊兄ちゃんによってぱしっと小気味のいい音なんかたてて払われた。



「朱那の気持ちなんにもわかってないんだな」



「なっ、そんなことねぇよ!俺は朱那ちゃんの彼氏だから……!!」



朱那ちゃんが苦しそうに顔を歪めて、底冷えした気持ちになった。


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