それは過剰で艶やかで 【完】
「それより、ミルクティー。今日はいつもよりミルクが強い気がするけど」
と話題を逸らした。
「ああ、気づいてくれたんですね。そうです。わざとです」
「わざと……?」
「美鳥さん、お疲れのようだったので。まろやかな方がいいかと思ったんです。お口に合わないようなら淹れなおしますけど」
翠はわずかに笑みを浮かべた。見透かすような眼差しに、いたたまれない気持ちになる。
「いや、べつに……わざわざ淹れなおさなくても」
ごにょごにょ言うと、くすりと微笑まれた。まだ、子どものくせに。
翠と話していると、ときおり歯切れが悪くなってしまう。眼鏡の縁を押し上げ、位置を調整する振りをして場をつなぐ。
「美鳥さん、口あけてください」
「は?」
あまりに唐突な発言に、思わず乱暴に返した。聞こえていないと思ったのか、翠はもう一度言った。
「口、あけてください」
と話題を逸らした。
「ああ、気づいてくれたんですね。そうです。わざとです」
「わざと……?」
「美鳥さん、お疲れのようだったので。まろやかな方がいいかと思ったんです。お口に合わないようなら淹れなおしますけど」
翠はわずかに笑みを浮かべた。見透かすような眼差しに、いたたまれない気持ちになる。
「いや、べつに……わざわざ淹れなおさなくても」
ごにょごにょ言うと、くすりと微笑まれた。まだ、子どものくせに。
翠と話していると、ときおり歯切れが悪くなってしまう。眼鏡の縁を押し上げ、位置を調整する振りをして場をつなぐ。
「美鳥さん、口あけてください」
「は?」
あまりに唐突な発言に、思わず乱暴に返した。聞こえていないと思ったのか、翠はもう一度言った。
「口、あけてください」