それは過剰で艶やかで 【完】
「けっきょく、今週丸々休んだわねえ」

 白い日差しを瞼で感じていると、日光浴休憩にやってきた山名さんの声が近づいた。

 ぐったりともたれかかっていたソファーの背もたれから、気合をいれて身体を起こす。生温い風が肌に薄っすら貼りつき、瞼はまだひらききらない。

「美鳥、大丈夫? この五日間、白川さんの仕事ぜんぶ引き受けてるでしょ」

 正面に座った山名さんが問いただす。

「平気ですよ」

「死体みたいに寝てたくせに」

「寝てませんよ。目をつむってただけです」

 目頭をさすり、軽く息をはいた。

 白川さんが休んで、今日で五日目。最初に休んだ日には『休んでしまってごめんなさい。すぐによくなりますから!』とメッセージをくれたけど、悪化したのかもしれない。週明けには出社してくるだろうか。

 まばたきしている間に過ぎたような五日間。残業が続いてしまい、翠から借りた傘はまだ返せていない。ロッカーをひらくたび、玉虫色はひそやかにきらめく。
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