Kahlua Milk 〜Hiding Gray 君の瞳に隠されて〜

「えっ?」
ハッと我に返る私

「俺が松島やめた理由」


え………?
心…読まれた?


「聞きたいんじゃないの?」

一瞬、声に出てしまったのかと焦った
でも、ううん、言ってない

なんで?
私何も言ってないのに…

でも、今逃したら聞けない…

コクンと頷くと、ユウはくいっとグラスをあけ、話し始めた



「2ヶ月前くらいの事かな…」



ユウは、以前付き合っていた高校生の彼女とはとっくに別れていた
そしてそのあとに付き合ったのが、松島のキャスト
つまり、クラブの女の子だ

付き合って1ヶ月、段々彼女の束縛が激しくなっていった

他の女の子と話さないで
24時間一緒にいて
仕事でも、他の子と仲良くしないで…

たまに許された友達との予定の時も
『LINEしたら1時間以内に返して』

すごい
そんなの、1ヶ月耐えただけでもすごいと思う

LINEの返信が少し遅いだけで浮気が疑われた

そんな苦痛に耐え切れず、ユウはその子と別れることを決意
それから気まずくなり、ちょうど月が変わるころ、ユウは松嶋を辞めた



「…そうだったんだ」


「うん
でも俺、やめてよかったよ
辞めたから、またミナと一緒に働けてるんだもんな」

簡単にそういうこと言うところ、変わっていないね…


「とある人の名言でさ、『どん底の時に出会った人こそ一生大切にしろ』ってのがあんの
知ってる?」
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