私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編

「そうだよな……
 すぐにそっちに行く
 だから待ってて
 絶対に何とかするから」

「……ヒック……ゆう…と……ヒック………」

「大丈夫だからな
 だから泣き止め
 可愛い顔が台無しだよ」

「うん………」

「じゃあ……一回切るな
 ちょっとだけ待っててな」

そして俺は電話を切った




香音……大丈夫かな……

熱出たって……どれくらいなんだろう………


退院するのを楽しみにしてたのに………何で今日なんだよ…………せめて明日だったら………




















そして病院に着いた

「香音!」

病室に勢い良く入った


そこには目に涙を浮かべ肩で荒く息をしている香音の姿があった

床には色々なものが散乱していた




……………物にぶつけたのか……自分の気持ちを……

物にぶつけて……解消しようとしたんだ

「香音……大丈夫か…?」

「……ハァ……ハァハァハァ……ハァハァハァハァハァ………」

「よしよし、もう大丈夫だからな
 良く頑張ったな」

香音を抱きしめた

香音も何も言わずに俺の服を握りしめた


ごめんな……一人にして……
楽しみにしてたもんな………

それなのに………直前でダメって言われたら……こうなるよな………

辛かったよな………ごめんな………





しばらくして香音の呼吸は落ち着いた

「香音大丈夫か?」

コクッ

「良かった………香音、絶対に俺が何とかする
 主治医の先生に掛け合ってみるから……だから少し待っててくれ」

……………

「すぐに戻ってくるからな」

そう言って俺は病室を出ようとしたけど……

「……………行かないで……」

消え入りそうな声で香音はそう呟いた

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