私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編


















しばらくして香音は泣き止んだ

そしてそのまま眠りに入った


香音……やっぱり辛いよな……
まだ………受け止められないよな……


ごめんな……辛いこと一人で背負わせて……

向き合うって言ってたけど………辛いならまだ向き合わなくていいんだよ……


逃げていいんだよ………死にたいって思うくらいなら………逃げてよ


香音………どうして一人で抱え込むんだよ………



コンコン

ガラッ

そんな時、扉が開いた


「下山先生」

「あっ、お父さん……」

「来てくれてたんですね」

「はい………香音から聞きました
 退院……できないんですか…?」

「………………頼みこんで退院の許可がおりました
 ただ、点滴が終わってからです」

「本当ですか!?」

「はい…!」

「良かった………」

「香音の声が……主治医の先生を動かした」

「どういうことですか…?」

「香音………病院では言葉を一切発しなかったのに…………下山先生に電話してたんですよね?
 それをたまたま廊下で聞いたみたいで………香音にとって病院よりも家で過ごさせた方が治るだろうってなったみたいです」


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