私の人生を変えてくれた人 ~もし君が生きてたら~ 前編
「あいつが………憎い……憎くてしょうがない………お母さんを苦しめたあいつを…………許せない」
「うん……」
「でもさ………私がもっとしっかりしていれば………こんなことにはならなかったのかもしれない
最期まで苦しまずにすんだのかもしれない
あいつを許せないのと同時に自分も許せない」
「香音………そんなことをした人を許す必要はない
ただ………自分は許せるようになってほしい
いつまでも………自分を責め続けるのは辛いよ」
「でも………」
「どんなに時間がかかったっていい
ゆっくりでいいから…………自分を許していこう
お母さんも………きっとそれを望んでる」
「……雄斗…………」
「俺はずっと側にいる
だから……少しずつ頑張ろうな」
「うん………」
「あとは…………今後のことだったか?」
「………そう」
「香音はさ…………行く予定だった高校に行きたいか?」
「…………………もう……いいかな………
今は………雄斗と離れたくない………信じられる人と……一緒にいたい」
「……………香音があっちの高校に行きたいのなら俺も行く
実は知り合いから塾の講師やらないかって誘われてるからさ
俺は香音と離れるつもりはない」