私の人生を変えてくれた人 ~もし君が生きてたら~ 前編
少し歩いた所で奏斗は止まった
「雄斗、これつけて歩くぞ」
そう言って画用紙で作られた何かを渡された
それは一つだけ小さな穴があいていた
「これは?」
「いいからつけるぞ」
そう言われ奏斗につけられた
「うわっ………何だよこれ………」
「………それが香音が見ている世界だ」
「………香音が……見ている……世界……?」
「あぁ……とりあえず歩くぞ」
「へっ、あっちょっと待てって」
「俺は待たない
頑張ってついてこい」
「はっ?
お前ひどっ」
「まぁ、生徒だったら待つけどな
お前は香音の大変さを知るべきなんだよ」
「はぁ………分かったよ」
「香音はな………その狭い視野で生活してんの
雄斗は被せてるから真っ暗って感じだと思うけど………香音は真っ暗っていう感覚もないんだ」
「……………どういうことだ…?」
「雄斗、頭の後ろって見えるか?」
「見えるわけないだろ」
「じゃあ光は?
光を感じるか?」
「…………感じない」
「何も感じないないだろ?」