私の人生を変えてくれた人 ~もし君が生きてたら~ 前編
「んじゃ、最初はキャッチボール!
まぁ最初だから優しく投げてやるよ」
「…………………」
そして投げられた
確かに優しい……………でも……
取れなかった
どうしても………距離感が掴めない
いつもなら取れるのに……
「おーい、早くかえせよー」
「あぁ」
投げるのは普通に出来た
でも………いくらやっても全然取れない
取れても……ワンバンしてから
奏斗が優しく投げても取れない………
それに………たまにボールを見失う
そうなると焦る
…………怖い
香音はこの恐怖を…………ずっと…………
奏斗は優しく投げてくれるけど…………体育じゃこんなに優しくないもんな…………
それに試合だとなおさら…………
距離感も掴めない中で…………あんなに体育出来たなんて…………凄すぎる………
「奏斗…………もう分かった………
もう無理………疲れた」
「…………香音の気持ち、少しは分かったか?」
「あぁ…………こんなに……辛かったんだな………」
「それをふまえた上で考えろ
香音が何を言ってほしいのか
まぁ雄斗も………気づいただろ?」
「………これが本当に言ってほしい言葉かは分からない
でも………香音に言いたい言葉はある」