私の人生を変えてくれた人 ~もし君が生きてたら~ 前編
「……それ返して」
「………返したら寝るのかよ?」
「…………寝ない」
「なぁ香音……勝負引きずってる?
それなら俺の負けだから
香音の勝ちだからさ…………一緒に寝よ?」
「……………いいから返して」
………………てっきり俺は……勝負を引きずってるのかと思ってた……
それで素直になれなくて…………みたいなやつかと………
でも……違った……
「やだ
香音が寝るまで返さない」
「どうして!」
「もう2時だぞ!?
分かってる?」
「分かってる」
「じゃあどうして寝ない?」
「眠くないから」
「ベッドに行けば眠くなる」
「それじゃあダメなの!」
「何がダメなんだ?」
「………………………返して」
「だから何度も言ってるだろ?
香音が寝るまで返さないって」
「……………………………………」
香音は無言のままカバンをあさり始めた
何をしているのかと思ってたけど……………
別のテキストを出してきた
はぁ………これ全部取らないと続くのかよ………
「香音?
勉強好き?」