私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編

「雄斗がいい………雄斗じゃなきゃダメなんです
 だから…………私は雄斗に捨てられるまでは側にいたい」

「捨てられるって………言い方………
 お前ら婚約してるんだろ?」

「…………してても捨てられる
 約束に過ぎない」

「じゃあ結婚したらそんなこと考えないのか?」

「……………結婚しても同じです
 一生この不安は消えないと思います」

「…………そっか
 じゃあ……俺のところに来いよ
 そしたらそんな不安が消えるまで伝えるぞ
 どれだけ香音が大切かって
 何があってもそんなことしないって」

「…………ごめんなさい
 私は雄斗といたいんです
 捨てられるまでは」

「あー、また振られたー
 もう勝ち目ねぇじゃん
 まず、雄斗が香音にそんなことするはずないし」

「………そんなことないです」

「まっ、雄斗に聞けば分かるよ」

「…………聞くのが怖いんでいいです」

「あっそ
 まぁお好きにどうぞ」

「…………………………」

「んで?
 香音、どうする?
 もう少し休むか?」

「あっ…………もう大丈夫です」

「本当に?
 朝から悪かったんだろ?」


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