私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編

「嫌!
 絶対に嫌!」

「香音……頼むよ……」

「やだ!
 今日だけって雄斗言ったじゃん!」

「ごめん……そこまでとは思わなかったから……」

「雄斗の嘘つき!
 嫌い!!」

「…………………ごめん」

コンコン

「入るぞー」

そんな時、和田が戻ってきた

「和田……今は……」

「分かってる
 俺に任せろ!」

そう言って香音の方を見た

「香音ちゃんこんにちは
 気分はどう?」

「………………………」

「頑張ってる香音ちゃんに良いものあるんだけど………見てくれる?」

何も言わない香音を置いて和田はスマホを操作し始めた

「ほら、どう?
 似合ってるでしょ?」

「………………可愛い」

「でしょ?
 欲しい?」

「………………欲しい」

「いいよー
 あげる!
 下山、香音ちゃんのスマホ貸して?」

「いいけど………お前、香音に何見せてんの?」

「それはねー、内緒!
 いいから貸せ」

仕方なく香音にスマホを渡した

「香音ちゃん
 連絡先教えてー?」

「……………………」

香音も香音で無言のままスマホ見せてるし……

「はい、送ったよ!」

「……………ありがとう!」

香音、めっちゃ嬉しそうな顔してるし……何送ったんだよ………

「マジでお前、何送ったんだよ」

「えー、知りたいー?」

「………教えろ」

「えー、どうしよっかなー
 香音ちゃんに聞いて?」

「香音……見せて?」

「………………絶対に消さないからね」

「………分かった」

そして香音のスマホに写ってたのは………

「お前っ、何送ってるんだよ!?」

和田が香音に送っていたのは高校生の時の俺の写真だった

しかも………文化祭で女装した時の……

「そんな怒るなよー
 香音ちゃん、喜んでるじゃん」

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