私の人生を変えてくれた人 ~もし君が生きてたら~ 前編
「香音ちゃん……診察するね」
そう言って栗原先生は真剣な顔になった
こんな真剣な顔をする時は……何かあった時
何があったの………思い……出せないよ…………
「香音ちゃん、どこか痛いところとかある?」
…………痛くはないけど………全身が重い……
………それに……声が…出ない
「…………こ…え……が………」
「声…?
あぁ……そっか……
香音ちゃん大丈夫
もう少ししたら治るからね」
本当に……治るの…?
全然……声出ないよ………
「香音ちゃん…………こんなこといきなり聞くのもあれなんだけど………どこまで記憶あるかな…?」
…………………記憶……どこまでと言われても………
……………中学校…卒業して………友達と遊んで……雄斗ともデートして………………
………………どうしてだろ……………この先が……出てこない
何も………思い出せない