私の人生を変えてくれた人 ~もし君が生きてたら~ 前編
「………文香………大丈夫だぞ
もう……大丈夫だから」
しずかに背中をさすった
「かな……と………せんせ…………」
「ん、大丈夫
俺がついてる」
「……………こわ…い…………」
「大丈夫…大丈夫
もう何もないよ」
「………せんせ………」
そして俺に抱きついてきた
こんなところ………本当は誰かに見られたらまずいんだろうけど…………今だけは………
そして俺も抱きしめた
プルルルルルルル
そんな時、電話がかかってきた
相手は上岡先生
きっと香音だよな………
「ごめん、文香
電話だけさせて」
「……………………いか………ないで………-」
「行かないよ
ここにいるから
電話だけ………な?」
「………ん………」
片手で文香を撫でながら電話に出た
「もしもし」
「あっ、もしもし
下山先生、ちょっと遅かったです………」
「あー…………やっぱり………
調理実習でしたか………」
「みたいです
家庭科の先生に聞いてみたところ、二人とも急に飛び出して行ったそうで
内線で連絡して探してもらってたみたいです」
「そうだったんですか…………
見つけたことは連絡した方がいいですかね?」
「あっ、もうしたので大丈夫です
ただ………岩本さんが………」
「香音………どうなんですか…?」
「見つけた時から息苦しそうで…………過呼吸………起こしてるかもしれません」
「………かもしれない…?」
「はい………岩本さんが逃げた先が………女子トイレの個室でして………
鍵閉めてこもっててどんな状況かまでは………」