私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編

「あー………ちゃんと頭は働いてるな」

「どういうこと?」

「あの事件思い出してるんだろ?
 それなら女子トイレがうってつけだろ
 男は入れないし、個室なら鍵も閉めれる
 トイレなら各階にあるはずだから入りやすい
 香音なら考えるでしょ」

「あー……確かにな
 でも何で………調理実習なんか…………
 せめて相談くらいしてくれれば………」

「………………香音はちゃんと助けを求めてくれていたんだ……俺には」

「……………雄斗は知ってたのか?
 調理実習があること………」

「いや、今知った
 ただ………香音から不在着信が入ってた
 おそらく学校に着いた頃の時間に
 奏斗の電話でスマホ開いて気づいた」

「じゃあ………」

「少なくとも香音は………こうなることも覚悟してたと思う」

「………………」

「…………香音にスマホだけでも渡せないか?
 そしたら話せるんだけど」

「お前……授業は…………」

「次のクラスの授業欲しがってた先生いるからあげる
 助けを求めてくれてるのに………見捨てられない
 電話………気づいてあげられなかったから
 次はちゃんと助けないと」

「…………分かった
 このスマホ渡しに行くから
 繋いだままでいいか?」
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