天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 私をビビらせた添田さんだが、真顔を崩して珍しくふわりと微笑む。

「とにかくおめでとう。近いうちに結婚祝いをしよう。慌ただしくてなかなかできずにいた歓迎会も兼ねて」
「ありがとうございます」

 祝福してくれているのが伝わってきて、純粋に嬉しくなる。城戸さんも、いまいち腑に落ちない様子ではあるものの「おめでとう」と言ってくれた。

 ひとまず報告を終えてほっとしていると、添田さんが腕組みをしてひとりごつ。

「それにしても、相良機長の噂は半分当たってたんだな。まさか相手が降旗さんだったとは」
「噂?」

 そんなものがあったの?と、気になるひと言に反応して小首をかしげる私に、彼女はさらりと告げる。

「ここ一年くらい、近々CAと結婚するんじゃないかってずっと囁かれていたんだよ。あなたが可愛いからCAだと思われたのかもね」

 聞いた瞬間、自分の表情が強張るのがわかった。

 ……その相手、私じゃない。私と暁月さんの姿を目撃されていたとしても、ごく最近だもの。少なくとも一年以上前から、結婚を囁かれるほど仲のいい女性がいたということだ。

 そんな人がいたのに、どうして私と……?

< 105 / 250 >

この作品をシェア

pagetop