天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
困惑トランジット
暁月さんがステイしている間、地域がバラバラになった仲間たちとリモートで集い、近況を語り合うことにした。
すでに懐かしく感じる面々に入籍したと報告すると、スマホの画面に映るゴンさんと遠野くんがあんぐりと口を開ける。
《はぁぁ!? 結婚~!?》
《すごいっす、莉真さん! あのエリートパイロットを落とすなんて!》
盛り上がる男ふたりから目を逸らし、「まだ落としてはないけど……」と呟いた。
そんな私を、茜だけは含み笑いして見ている。彼女にはひと足先にすべての事情を話していたから。
普通の恋愛結婚だと思っているゴンさんは、上機嫌に缶ビールを呷って祝福してくれる。
《いやーおめでとう。こんなに早く結婚するとは驚いたけど、お前らはいずれくっつくと思ってたよ》
「なんか胡散臭いけど、ありがとうございます」
クールに返すとゴンさんは《失礼な》とツッコみ、遠野くんはおかしそうに笑っていた。
しばらく四人で楽しく話をして、最後は茜とふたりでガールズトークをすることにした。男性陣が退出し、にんまりとしてスナック菓子を口に放る茜だけが映る。
《どうよ、結婚のよさをわかってもらえるように〝いい妻〟やってる?》
「まだそこまでは。ていうか、私より暁月さんのほうが〝いい旦那〟すぎて」