天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 一緒にご飯を食べてくれるし、いない間もちゃんと連絡が来るし、いってらっしゃいのキスだって……。

 思い出してキュンとしていると、茜はのろけるなと言わんばかりに釘を刺してくる。

《問題はこれからだよ。だんだん相手の知らなかった部分が見えてくるだろうから。恋愛結婚だろうとそうじゃなかろうと、乗り越えなきゃいけないところは一緒だね》

 確かに、たとえ恋人と結婚するとしても、相手と自分の違いを認めて妥協していかなければうまくいかない。逆に、すべてを受け入れられれば契約結婚でも幸せになれるはず。私たちも然り。

 暁月さんは今のところスパダリな一面しか見せてきていないが、城戸さんも言っていたようにそれが彼のすべてではないだろう。

 でも、こじらせ面倒女子の私を妻にしてくれた人なのだから、私もどんな彼も受け入れたいと思う。

「そうだね。努力するって決めたから、夫婦になれるように頑張る」
《うん。結婚してから恋愛しようとしてできるものなのか、私も楽しみにしてるわ》

 わくわくしている茜は実験結果に期待している研究者のようで、私は苦笑するしかなかった。

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