天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 嬉しくなる私に、暁月さんは「ありがとう」と優しい声をかけ、自然に頭を撫でた。胸がほんわかすると同時に、きゅっと締めつけられる感覚を覚える。

 たぶん、彼がこうやって甘く微笑みかけるのは、私だけじゃないのだと実感したから。……やっぱりなにも考えないのは無理だな。

 料理を完成させ、ダイニングテーブルにふたり分並べて向き合って座る。食べ始めてすぐに「ん、うまい」と頬を緩める彼を見て嬉しくなるものの、素直に喜べない自分もいた。

 食事を終えた後はお互いにシャワーを浴びて、暁月さんが北海道で買ってきてくれたワインを少し嗜んだ。とても美味しかったので飲みすぎないようになんとか自制し、ほろ酔い状態で歯を磨く。

 口の中だけはすっきりしてリビングに戻ると、暁月さんも寝る支度を整えていて私に手を差し出す。

「莉真、おいで」

 そこではたと思い出した。次こそ同じベッドで眠ろうと決めていたではないかと。

 やばい、別のことばかり考えていて忘れていた……!

 一気に心拍数が上昇し始めるも、拒否する気はないのでそろそろと従順に彼の手を取る。

 そのまま連れてこられたのはやはり寝室。暁月さんは先にベッドに座り、私の手を引いて自分の足の間に私を座らせた。

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