天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
「莉真は肌が白いから目立つね、俺の印」

 そう言われて、みるみる顔が熱くなった。

 今の、キスマークをつけたの!? けん制の意味を理解して、どぎまぎしつつ吸われた首に手を当てる。

「ちょっ、ここ見えるんじゃ!? 髪で隠さないと!」
「見えなきゃ意味がないだろ」

 飄々としている暁月さんは、「髪を結んでる莉真も可愛いよ」なんて言って笑う。城戸さんだけじゃなく他の社員にも気づかれたら困るのだけど、彼のものだという印をつけられたのはちょっぴり優越を感じた。

 隠す隠さない論争を繰り広げた後、お互いにあくびをし始めたので私たちは自然にベッドに入った。ただ隣に横になって、身体を向き合わせる。

 私の髪をひと撫でして「おやすみ」と囁いた暁月さんは、やはり疲れていたようですぐに瞼を閉じた。

 トクトクと鳴る自分の心臓の音を感じながら、貴重な寝顔を眺めて思いを巡らせる。

 彼がいつも甘く微笑んで触れるのは、私に恋愛感情があるからじゃない。自分を好きにさせようとしているからだ。

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