天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 赤い跡を残された翌日、私は普通に髪を下ろして出勤したにもかかわらず、案の定城戸さんが眉根を寄せて首筋をじっと見てきた。本当に鋭いというか、目ざといというか。

『そうやって主張されると余計怪しい』といまだに疑う彼に、『普通に仲がいいだけです』と返したけれど、自分で言っていてちょっと虚しくなった。

 そのキスマークも消えた頃、世間はゴールデンウィークに突入。なかなかタイミングが合わずゆっくり話せていないが、連休終盤に暁月さんと一日だけ休みが合ったので、初めて映画デートをすることになった。

 デート自体初めての私は服を選ぶところからかなり悩んだが、お手本通り細身の白いワンピースに、パステルカラーのシアージャケットを羽織った甘めのスタイルに。髪はふんわりと低めのお団子にしてみた。

 暁月さんはこれも見逃すことなく、可愛いと褒めてくれる。本人の、七分袖のカーディガンに黒のパンツを合わせた休日スタイルも相変わらず完璧だし、歩いている時は手を繋いでいてくれるし、どれを取ってもスパダリだ。

 六本木のカジュアルなレストランでランチをした後、お互い気になっていたミステリー映画を見て、ぶらぶらショッピングをする。定番すぎるデートコースだけれど、私にとっては新鮮でとても楽しい。

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