天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
赤裸々コンタクト

 初デートから二日後、ゴールデンウィークを終えて繁忙期を乗り切った私たちは、仕事を終えてから予定通り三人でスペインバルへ繰り出した。

 店内はわいわいと明るい雰囲気で、私は城戸さんと隣り合ってテーブル席に座った。それぞれ頼んだお酒とタパスが運ばれてきたところで、添田さんが乾杯の音頭を取る。

「じゃあ改めて。降旗さん、遅ればせながら羽田へようこそ。そして結婚おめでとう」
「おめでと~」

 城戸さんが続き、私は「ありがとうございます」とペコペコ頭を下げて皆でグラスを合わせた。

 最近の城戸さんは私たちの結婚に対して特に口出ししたりせず、いたって普通に働いている。相変わらず甘い発言もぽんぽん飛び出るけれど、ただの冗談としてかわせるようになってきた。

 同僚として彼と話をするのはすごく楽しいので、今も航空業界の話で盛り上がっている。

「松本空港はやっぱりパイロット泣かせだったのか? 私は行ったことがないんだ」

 同じ場所での経験がある私たちに、添田さんがビールのジョッキを片手に尋ねた。

 松本空港は独特な地形に位置しているため、以前は日本一着陸が難しい空港だとされていた。暁月さんも『松本空港は侵入経路が特殊だからアプローチは緊張する』と言っていたし、きっと間違いではないのだろう。

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