天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 やっとひとつになれた時、彼は少し心配そうに髪を撫でていたけれど、私は自分の一番深いところで彼を感じられる喜びに浸っていた。

「大丈夫か?」
「ん……幸せです。すごく」

 触れ合う肌の滑らかさも、温かさも、間近に感じる吐息や視線も、すべてが尊くてなんだか涙が出そうになる。抱き合うって、こんなに満たされるものだったんだ。

 暁月さんはとても愛おしそうに私を見つめ、ゆるゆると腰を動かし始める。痛みが徐々に変化してきて、漏れる声も自然に甘さを増していく。

「莉真……俺だけを見ていて。なにがあっても離れるな」

 荒い呼吸の合間に、これまで見せなかった独占欲をむき出しにされる。私はそれがたまらなく嬉しくて、逞しい背中にしがみついた。

「ずっと、ずっと一緒にいます」

 暁月さんは世界中を飛び回るパイロットで、物理的には離れている時間のほうが多いかもしれない。

 でも、ふたりの心はいつもそばにある。そういう関係でありたい。

 初めて愛される喜びを全身で感じながら、彼にとってなくてはならないパートナーになろうと心に誓った。


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