天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
ポートアイランドの美しい夜景を見下ろしながらたわいない話をしていると、莉真はふいに苦笑を漏らす。
《前に、恋愛結婚じゃない私たちなら会えない間も大丈夫……みたいなこと言ったけど、やっぱり寂しいです》
入籍する直前、『恋愛結婚だったら、会えない間は恋しい気持ちが先行してうまくいかないかもしれないけど、私たちならきっと大丈夫です』と莉真が言っていたのを思い出す。
そういえばあの時、俺と会えなくてもなにも感じないのかと、ついムッとしてしまったのだった。まだ彼女に恋愛感情が芽生えていなかったのだから仕方ないが。
今はちゃんと寂しくなっているようでほっとするし、優越感のようなものも覚える。
「よかった、いないほうが清々するとか思われてなくて」
《思いませんよ!》
即答してくれたことが嬉しい。なにげない会話に幸せを感じていると、話が途切れたところで莉真は急に真面目な調子になり、遠慮がちに言う。
《あの、暁月さん。今回のフライトは、の──》
「『の』?」
なぜかものすごく中途半端なところで止まった。首をかしげ、謎の発言の続きを促すも、彼女は明るく《いえ! やっぱりなんでもないです。ははは》と、渇いた笑い交じりに自己完結した。
《前に、恋愛結婚じゃない私たちなら会えない間も大丈夫……みたいなこと言ったけど、やっぱり寂しいです》
入籍する直前、『恋愛結婚だったら、会えない間は恋しい気持ちが先行してうまくいかないかもしれないけど、私たちならきっと大丈夫です』と莉真が言っていたのを思い出す。
そういえばあの時、俺と会えなくてもなにも感じないのかと、ついムッとしてしまったのだった。まだ彼女に恋愛感情が芽生えていなかったのだから仕方ないが。
今はちゃんと寂しくなっているようでほっとするし、優越感のようなものも覚える。
「よかった、いないほうが清々するとか思われてなくて」
《思いませんよ!》
即答してくれたことが嬉しい。なにげない会話に幸せを感じていると、話が途切れたところで莉真は急に真面目な調子になり、遠慮がちに言う。
《あの、暁月さん。今回のフライトは、の──》
「『の』?」
なぜかものすごく中途半端なところで止まった。首をかしげ、謎の発言の続きを促すも、彼女は明るく《いえ! やっぱりなんでもないです。ははは》と、渇いた笑い交じりに自己完結した。