天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 ふたりに会った瞬間に笑顔が広がって、「久しぶり!」と再会を喜び合う。結婚式ぶりに会ったゴンさんは、強面を崩したドヤ顔で私に言う。

「降旗、誕生日おめでとう。どうだ、今年は覚えてたぞ」
「茜から聞いてたんでしょう。でもありがとうございます」

 呆れて笑ってしまうけれど、こうして会ってくれていることが嬉しい。まあ、彼がわざわざ北海道から来るのは、私だけじゃなく皆に会うためなのだけど。

 ゴンさんと並ぶと余計に華奢に見える茜が、にこにこしながら包装された箱を差し出す。

「莉真、おめでとう。色気皆無のマッサージガンでーす」
「あー欲しかったやつ! ありがとう~!」

 喜んでプレゼントを受け取った時、遠野くんが「ゴンさん莉真さん、お久しぶりっすー」といつもの元気さでやってきた。この場所で皆が集合すると、働いていた時にタイムスリップしたみたい。

 しばし世間話を楽しんだ後、急に茜がかしこまった様子で私に向き直る。

「さて、莉真に大事なものがもうひとつ。旦那様からのプレゼントも預かってるよ」
「え?」

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