天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 相良さんってお姉さんがいたんだ。言われてみれば顔立ちが似ているかも。とにかく恐ろしいほどの美男美女姉弟!

 レアキャラに会ったような尊い気分で、とりあえず姿勢を正して「はじめまして。降旗です」と挨拶した。私は相良さんの友達でも同僚でもないから、関係は説明できないけれど。

 相良さんは私を一瞥し、〝おあずけだな〟とでも言いたげに含みのある笑みを浮かべた後、陽和さんたちと普通に話し始める。私は気まずさと恥ずかしさで俯くしかない。

「まさか姉さんたちがいるとは」
「用事があってこっちに来てたんだけど、旦那の職場がすぐ近くだから終わるまでここで待ってたのよ。よかったね、あっくんにまで会えて」
「うん! いっしょにあそぼー」

 くりくりとした目で見上げておねだりする奈々ちゃんが可愛すぎて、私までキュンとした。これには相良さんもやられたようで、ふにゃっとした笑顔になり、もう一度頭を撫でる。

「奈々はこれから帰ってご飯だろ? また今度な」
「えー。ごはんよりあっくんがいいー」
「男を手玉に取る女みたいなセリフ言わないで」

 陽和さんが冷静にツッコみ、奈々ちゃんは当然意味がわからず首をかしげた。

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