天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
「俺も、こうでもしないときっと一生結婚しない。ずっとひとりでいいと思っていたけど、あの日君と話をしてから少し気持ちが変わった。知りたくなったんだ、誰かと生きていく人生で得られる幸せってやつを」
絡み合った視線の先で、わずかに彼の口元が緩む。
「結婚はいいものだって、俺に教えてくれ」
そんな交換条件を出す相良さんは、結婚するほうへ気持ちが前向きに変わってきたらしい。私の胸のざわめきも、動揺からまた別の感覚に変化し始める。
自分でも重々わかっている。いい加減に他の男性に意識を向けなければ、いつまでも過去に囚われたままだって。その貴重な機会が、今まさに訪れているのだということも。
しかし、自分の中に譲れない気持ちがあるのも事実。愛のある結婚がしたいという夢を、今はまだ捨てられそうにない。
「……私は、結婚したいとはいえ、契約結婚とか共生婚みたいな戸籍上だけのドライな関係にはなりたくないんです。それでは結婚する幸せを感じられないかもしれないし、相良さんの望むものでもないですよね。だから──」
「俺は〝恋愛感情のない結婚をしよう〟だなんて、ひと言も言っていないけど?」
絡み合った視線の先で、わずかに彼の口元が緩む。
「結婚はいいものだって、俺に教えてくれ」
そんな交換条件を出す相良さんは、結婚するほうへ気持ちが前向きに変わってきたらしい。私の胸のざわめきも、動揺からまた別の感覚に変化し始める。
自分でも重々わかっている。いい加減に他の男性に意識を向けなければ、いつまでも過去に囚われたままだって。その貴重な機会が、今まさに訪れているのだということも。
しかし、自分の中に譲れない気持ちがあるのも事実。愛のある結婚がしたいという夢を、今はまだ捨てられそうにない。
「……私は、結婚したいとはいえ、契約結婚とか共生婚みたいな戸籍上だけのドライな関係にはなりたくないんです。それでは結婚する幸せを感じられないかもしれないし、相良さんの望むものでもないですよね。だから──」
「俺は〝恋愛感情のない結婚をしよう〟だなんて、ひと言も言っていないけど?」