天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
「莉真も公務員だから印象はいいはずだ。きっと結婚も反対はされない」
「だといいんですが」
お父様は厳しそうだから、挨拶するとなったらかなり緊張するな。
でもこういう時、やはり安定した公務員はメリットなのかもしれない。それに、航空管制運航情報官と名乗ると、なにそれ?状態になる人が多いが、航空業界の人なら確実に知っているからよかった。
一方、私の両親はだいぶ緩い性格なので、結婚話を出したら単純に喜ぶだろう。なにせ相手はパイロットなのだから。
「うちの両親はこの間言ってた通り、パイロットなら誰でも歓迎なので」と言うと、暁月さんはシエラでのひと時を思い出したらしくおかしそうに笑った。
家族の話をしていて気になるのは、暁月さんの昔の家庭環境だ。この際、深いところまで聞いてみてもいいだろうか。
「あの、お父様はいつから暁月さんたちを男手ひとつで育てているんですか?」
やや遠慮がちに、言葉を選んで問いかけた。彼はわずかに表情を曇らせつつも、嫌がる様子はなくゆっくり口を開く。
「母が出ていったのは俺が中学一年で、ふたつ上の姉さんの受験が終わった頃だった。その前からなんとなく母の様子がおかしいのは気づいていて、いなくなった時も妙に納得してた。父に家事も育児も任せきりにされて、人付き合いも制限されたら逃げ出したくもなるよな」
「だといいんですが」
お父様は厳しそうだから、挨拶するとなったらかなり緊張するな。
でもこういう時、やはり安定した公務員はメリットなのかもしれない。それに、航空管制運航情報官と名乗ると、なにそれ?状態になる人が多いが、航空業界の人なら確実に知っているからよかった。
一方、私の両親はだいぶ緩い性格なので、結婚話を出したら単純に喜ぶだろう。なにせ相手はパイロットなのだから。
「うちの両親はこの間言ってた通り、パイロットなら誰でも歓迎なので」と言うと、暁月さんはシエラでのひと時を思い出したらしくおかしそうに笑った。
家族の話をしていて気になるのは、暁月さんの昔の家庭環境だ。この際、深いところまで聞いてみてもいいだろうか。
「あの、お父様はいつから暁月さんたちを男手ひとつで育てているんですか?」
やや遠慮がちに、言葉を選んで問いかけた。彼はわずかに表情を曇らせつつも、嫌がる様子はなくゆっくり口を開く。
「母が出ていったのは俺が中学一年で、ふたつ上の姉さんの受験が終わった頃だった。その前からなんとなく母の様子がおかしいのは気づいていて、いなくなった時も妙に納得してた。父に家事も育児も任せきりにされて、人付き合いも制限されたら逃げ出したくもなるよな」