可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
実家に帰らないタイプの生贄姫
500歳年上の魔王様に古臭い結婚指輪をはめられた。
この結婚指輪をいただけば、もうこっちのものだ。
真っ赤なウエディングドレスを身にまとい、金色の波髪を美しくうねらせたベアトリスは魔王様の真っ赤な瞳に向かって宣言した。
「私は絶対に泣きませんわ!」
「「「は?」」」
魔国の国民たちが見守る魔王城での結婚式に、大量の疑問符だけが舞い降りた。冷酷非情と名高い魔王様も、赤い瞳をぱちくりさせた。
とても500歳とは思えない魔王様、ジンは腰の抜けるような美貌だった。麗らかな黒髪は滑らかで、肌ツヤ感だけなら人間でいえば20代前半に見える。
だがその顔面は美しくとも、頭には牡牛のような大きなツノが二つあり、耳はツンと尖っていた。どこをどう見ても人間ではない旦那様を前に、ベアトリスは再度言った。
「私は、実家には意地でも帰りません!」
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