可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─


「そうだよ。私は君に対してかなり早計だ。これ以上の加速は私の矜持を持って止めたい」

「大事にしているからと解釈してもかまいませんか」

「紛れもない事実だ」



二人は手を繋いで、お互いが大事に想い合っていると確認し合った。二人は並んで魔王城へと歩き始める。

ベアトリスはふと思い立ち、立ち止まってジンを引き留めた。



「あの、魔王様、少し屈んで頂いてもよろしいですか?」

「なんだい?」

「お耳を貸して欲しいのです」

「いくらでも」


ジンはベアトリスの隣で腰を屈めて顔を低くした。ベアトリスの顔の高さに下がってきた尖った耳に、ベアトリスはこそこそと小さな声で甘く囁きかける。


「魔王様」

「ん?」

「あなたの幼い妻が可愛くて、ごめんあそばせ?」

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