可愛くて、ごめんあそばせ？─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ！─

いやらしマッサージの魔王様

「本当に置いて行かれてしまいましたのよ！」


夜のジンの寝室に招かれて、生き血ジュースを飲みながらベアトリスは今日を語った。

あの後サイラスは本当に帰って来なくて、夕方になったのでベアトリスは走って逃げた。


「サイラスは厳しいからね。私も子ども頃は散々しごかれた」

「魔王様も指導されているなんて、サイラス様は本当にすごいお方ですのね」

「生き字引みたいなものだよ」

「そんなサイラス様のご指導は正しいのでしょうね」


一日中パクンにパクパクされて疲れたベアトリスはぐったりしていた。ジンはツノでベアトリスの叫び声を聞いては笑ってしまっていたのは内緒にしておく。


「初代魔王様の加護があるとわかっていても、パクパクは恐ろしいですわ」


ぐったりと肩を落とすベアトリスを見かねたジンは、ベッドの端に座ってベアトリスを招いた。


「こちらへおいで、ベアトリス」

「はい、魔王様」


ベアトリスがジンの隣に腰掛けようとすると、ジンが手でベッドの真ん中を指した。


「寝転んでごらん。身体を揉んであげよう」

「揉む？」

「一日中怖がって筋肉が緊張しているだろう？もみほぐして楽にするといい」

「え、あの、魔王様？」