可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
ぷるるがしゅっと手の平サイズに戻って、ベアトリスの肩の上でぷるぷるしている。ジンはぷるるを摘まみ上げて、自分の肩に乗せた。妻の肩に乗るな。
「今までの加護様は、姿を現さずにベアトリスを勝手に守ってきた」
ジンが肩の上に乗ったぷるるをツンツンつつくと、バインッと跳び上がったぷるるは勝手にベアトリスの肩に移った。
ぷるるは生贄姫の肩が気に入ったようだ。またもベアトリスの頬にぷるぷるを押し付ける。
ジンは眉を顰めたが、説明を続ける。
「だが、姿を現すことで、加護に柔軟性を持たせてくれたのだろう。
生贄姫の意志に添って加護を与える代わりに、肩に住むことをご所望のようだ」
「ぷるる様は私の肩の上に住みたいのですか?」
「ぷるる」
ぷるんぷるん体を揺らすぷるるの声は高くてゴキゲンだ。水袋のような柔い感触が頬にくっついて擦り寄るとくすぐったい。ベアトリスは思わず頬が緩んだ。
「私はあまり気が進まないが」