可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─

尻もちを付くほどの勢いでふっとばされたエリアーナが、赤く腫れた手を擦ってイラっと声を上げる。


お下品に大っぴらに開いた脚の間からスカートの中が丸見えだ。


「何すんねん!」

「許可なく私に触れられては困りますわ」


ベアトリスはさっと左手の指輪に手を添わせた。


(初代魔王様の加護は本当に偉大だわ。

立場の弱い生贄姫の完全なる味方だもの)


この古臭い結婚指輪に宿る初代魔王様の加護は

ベアトリスが拒否したものを全て弾き返す。


ベアトリスの周りに張り巡らされた透明で驚異的な障壁が、全てが阻むのだ。


そのため、誰もベアトリスを肉体的に傷つけることができない。


この指輪の加護の力を知っているからこそ、城中を歩き回っても、誰も物理的な危害を加えようとはしなかったのだ。

   

そして、次に攻められるだろう遠回しな肉体攻撃。

つまり餓死狙いの断食作戦だ。


   
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