可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
謝りたいのよエリアーナ
麗らかな空の下で、エリアーナがアイニャの墓に花を摘んではせっせと飾っていた。アイニャの墓を可愛い花で囲んで、エリアーナがふんと鼻息を出す。
「どうや、アイニャ。綺麗やろ?ネズミ持ってこようとしたら、先生がそれはあかんって言うから花にしたんや」
うさ耳をしゅんと垂らして、エリアーナはアイニャの墓を撫でた。
「アイニャ、ごめんな。うちのせいで」
エリアーナがベアトリスの大事な金のロッドを盗んだせいで、アイニャは死んでしまった。アイニャにはもう何百回と謝った。
「あの女には、何て言うたらええんか……うちわかれへんねん」
でもまだベアトリスには何も言えていなくて、エリアーナは悩んでいた。
サイラスは悩みを聞いては「誠意」を見せるしかないと言うだけだ。大雑把な助言に、小さな脳みそでどうやって謝るべきかずっと考えていた。
「考えるのは苦手や」
情緒成長期のエリアーナは今、サイラスから考える時間を与えられている。