可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
エリアーナは薄暗い魔狼の巣に入り込んでいた。
奥の深い洞穴で、昼でも暗い。
夜目の効くピンクのウサギ眼で、エリアーナは魔狼が巣に持って帰っただろう金のロッドを探していた。
「あいつらは光もん大好きや。持って帰ったはず」
顔や手足を土まみれに汚して、エリアーナは必死だった。
エリアーナは本物の赤ちゃんで、欲のままに悪いことを繰り返して遊んできた。
誰に止められるでもなく、ただ楽しかった。
誰かに謝りたいと思うことなんてなかった。
でも、生まれながらに持つ赤ん坊の純粋な悪は、時と共に変わっていく。
アイニャの死をきっかけに、ついにエリアーナの心に罪悪感が生まれたのだ。
「絶対みつけるで!!」
掘り返した跡のある場所を片っ端から掘り返し、魔狼が収集した光りものを見つけていく。
薄暗い洞穴で集中していたエリアーナはすっかり夜が訪れていることにも気づかなかった。
「あった!これやこれ!やったぁあ!」