可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
エリアーナはついにベアトリスの金のロッドを発見した。金のロッドを抱きしめると、うさ耳がしゅんと垂れる。
「これで許されるわけやないけど……でもあって良かったぁ」
エリアーナがメイド服の左胸ポケットに金のロッドを入れて立ち上がる。
「よぉっし!一発謝るで!ってなんや?!」
勢い勇んで振り上げた両腕を骸骨の手ががっしり掴んだ。
突然、両手が骸骨の手に拘束されて、エリアーナはウサギ眼をきょろきょろして状況を把握しようとした。ロッド探しに必死で気づかぬ間にドクロたちに背後を取られた。
「なにすんねん、スカスカ骸骨が!」
「アホ糞エリアーナだ、オエッ!」
「大丈夫か弟」
「手ぇ離さんかアホ!」
ドクロの双子がエリアーナの両腕を拘束すると、すぐに両手首に魔術具が装着される。
「離せぇええーー!!」
魔術具が発動し、両手首が地面に貼り付けられた。エリアーナは地面に仰向けに寝転がされて、為す術がなかった。
両手をパチンと叩くことから始まるエリアーナの封印術をあっさり封じられたのだ。
「「ここからどうする?!」」
地面に寝転がるエリアーナを、縦に長い瞳孔が開いたギョロ目が見下す。ワニおじさん、フェルゼンは裂けた口から尖った牙をギラリと見せて笑った。
「エリアーナ、封印術を使えないお前は弱いねぇ」