可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─

物理的に傷つけられなくても食べ物がなければ人間は死んでしまう。

だが、ここでも初代魔王様の加護は存分に働いた。



「私に断食は効きません」

「そうなん?!知らんかったぁ!」



古臭い結婚指輪をしたベアトリスはお腹が空かないのだ。

食べようと思えば食べられるが、食べなくても空腹を感じない体になった。

初代魔王様の加護万歳だ。


「さらに寒さや熱さで私に責め苦を与えることもできません」

「それもあかんの?!」

「初代魔王様の加護のおかげです」


ベアトリスの周りに張り巡らされた加護が快適空間を維持するようになっていた。

周りがマグマで満ちようがベアトリスは涼しい顔でいられる。そのため、冷えるはずの石造りの部屋でも温かく眠れた。


(なんて聡明でお優しい初代魔王様。好きになってしまいそうよ)

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