可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─

才能ありますエリアーナ

目隠しされたエリアーナは、水音がするどこかに連れて来られていた。常に両手は魔術具で封じられ、封印術を使うことはできない。


フェルゼンがずるずる大きな尾っぽを引きずる音が、エリアーナのうさ耳に届いていた。


「クロコダイル族は魔族の中でも知者の割合が多くてねぇ」

「封印場所の管理を任されてるんだぞ責任重大……オエッ!」

「大丈夫か弟」


ドクロの双子がエリアーナの周りで茶番を続けるが、エリアーナはお腹の傷が痛んで話どころではなかった。


(うち死ぬんかな)


今までサイラスの庇護下で育ってきたエリアーナは大きなケガなどしたことがなかった。お腹を縦にまっすぐ切り裂かれ、治療もしてもらえず、エリアーナは目隠しを涙で濡らした。骸骨の手に押されて硬い地面に跪かされる。


(悪いことばっかりしてきたから、罰が当たったんや)

「お前にはこのカオスの封印を解いてもらおうねぇ」

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