可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
今までぷるんに防衛できないものなどなかったが、その限界を突破させるほどの脅威をジンは想定している。
「加護様に頼るだけでは、時間が経つとともにこちらが不利になるばかりなんだ。
加護様の展開と同時に、私は前線に立つ」
ベアトリスの肩の上に住まう加護様ことぷるんはバインと体を揺らしてやる気満々だ。
「サイラスの帰りを待ちたいところだが、相手は待ってくれないからね」
ベアトリスはついに自分の肩に王妃としての役目が乗ったことに重みを感じた。魔国民の命を預かるのだ。
「ベアトリス、私は魔族の王で、アホ可愛い魔族を守る使命を持っている」
クスリと笑うジンに釣られて、ベアトリスも笑ってしまう。魔国民は確かにアホで、でも純粋に強い魔王様を慕う可愛いところがある。
だからジンもサイラスも国民を愛してしまうのだ。ベアトリスと魔国民は魔王様を慕う仲間同士だ。
「私の国民たちを頼むよ。我が愛しの王妃」
「承りましたわ。我が愛しの魔王様」
二人は凛々しく微笑み合い、国民を守ると誓い合った。
愛する人の願いなら、どんな困難にも立ち向かう。
それが魔国の人間王妃、ベアトリスの愛だ。